アプリ開発の費用相場|コスト削減の方法や注意点

2023/04/24

日常生活や仕事など、幅広い場面で活用されているアプリ。最近では様々な業種や業界で、自社独自のアプリ開発を検討している企業も多いです。

アプリ開発をする際に最も気になるのが、アプリ開発にかかる費用ではないでしょうか。アプリ開発の相場はアプリの機能や内容によって幅広く、50万円程度で済むものから1000万円以上要するものまでさまざまです。そこで今回は、アプリ開発に必要な費用の相場について、コスト削減の方法や外注の際の注意点なども交えながら解説します。

アプリ開発にかかる費用相場

先述したとおり、アプリ開発に必要な費用はアプリの内容ごとに大きく変動するため、開発に必要な費用を正確に算出するのは難しいです。しかし、アプリ開発にかかる費用には一定の相場が存在するため、アプリの種類や開発方法が確定すれば大体の見積もりをすることができます。

アプリ開発にかかる費用の相場を、アプリの種類やタイプ別、開発方法別にご紹介します。

アプリの種類別の費用相場

アプリには、「Webアプリ」「ネイティブアプリ」という大きく2つの分類が存在します。

種類特徴費用感
Webアプリブラウザ上で動作するため、ユーザーはアプリをインストールする必要がない。気軽に利用できるアプリ開発に向いている。工数が少ないため、比較的安い
ネイティブアプリスマートフォンやタブレット端末にインストールして使うタイプのアプリ。気軽さはWebアプリに劣るが、一度インストールしたユーザーに継続的に利用してもらいやすい。OSごとに開発するため工数が多く、費用は高い

大雑把に言えば、ネイティブアプリの開発はWebアプリの開発よりも費用が高額になりがちです。ただしアプリの種類よりも、後述するアプリのタイプや、開発方法の方がアプリの開発費へダイレクトに影響してきます。

アプリのタイプ別の費用相場

アプリのタイプは、アプリの開発費へ大きく影響します。例えば簡単な業務管理アプリの場合は数十万円程度で済みますし、反対に大規模なゲーム開発を行う際には1000万円程度となることもあります。それぞれの費用相場は以下の通りです。

アプリのタイプ費用相場
ECアプリ800〜3000万円
デリバリーアプリ500〜2000万円
学習アプリ800〜3000万円
ゲームアプリ800〜3500万円
マッチングアプリ200〜2000万円
ヘルスケアアプリ700〜4000万円

どのタイプでも上限はかなり高くなっていますが、画像や音声素材の用意が必要なゲームアプリや、高いセキュリティが求められる大規模なヘルスケアアプリなどでは特に相場が高くなっています。

アプリの開発方法別の費用相場

アプリには、テンプレートを組み込んでアプリ開発を行うノーコード型のアプリ開発や、1からオーダーメイドのアプリを作成するフルスクラッチ型開発など、いくつかの開発方法が存在します。開発方法別の費用相場は以下の通りです。

種類概要費用相場
ノーコード型アプリ開発テンプレートを用いて、コーディングなしで開発する安い。3万円〜
クラウド型アプリ開発クラウド上の開発環境を用いて開発する。初期開発費と月額利用料がかかり、値段は幅広い。初期費用は数十万〜300万程度、月額利用料は3万〜10万程度。
パッケージ型アプリ開発既存のシステムを組み合わせて開発するパッケージ購入費とカスタマイズ費がかかり、いずれもやや高め。50万円〜

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アプリ開発の費用の内訳

アプリ開発における大体の相場を紹介しましたが、内訳はどのようになっているのでしょうか。

一般に、アプリ開発をする際にはエンジニアへ給料として支払う人件費と、システム維持に必要な固定費がかかります。アプリ開発における費用の内訳について見ていきましょう。

固定費

アプリ開発の際にまず必要となるのが、システム維持のために支払う固定費です。代表的な固定費の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 運用のためのドメイン取得費用
  • サーバーの維持費
  • 機材や設備の購入費・維持費
  • AppStoreやGoogle Playなど、アプリストアへの登録費・配信費

これらは、開発終了後もアプリの運用中は継続的にかかる費用です。またこれら以外にも、アプリのリリース後に行う機能追加や不具合修正のため実施するアップデートにおいても、追加の費用が発生します。

エンジニアの人件費

アプリ開発の際に必要となるのが、エンジニアの人件費です。ほとんどのアプリ開発の予算では、エンジニアの人件費が最も大きな割合を占めています。

小規模なアプリ開発の場合には個人のエンジニアへ依頼することもできますが、大規模なシステム開発を行う際にはプロジェクト管理を行う「プロジェクトマネージャー」や、仕様書を作成する「エンジニア」、仕様書に沿って実装を行う「プログラマー」など、様々な人材がチームを組んで開発することになります。フリーランスの個人プログラマーへ依頼する場合でも、最低で月々30〜40万円程度はかかるでしょう。

開発期間

開発の現場では、よく「人月」という単位が使われます。これは、開発に必要な工数を処理するために必要な「人数」と「開発期間」をかけ合わせた値です。当然ではありますが、開発期間が長くなればなるほど、開発に必要な費用もかさむと考えましょう。

小規模でシンプルなアプリの場合、開発期間の平均は1ヶ月〜3ヶ月前後です。一方、フルスクラッチで大規模なシステムを構築する際には、1年以上の開発期間が必要なものも存在します。

開発期間は対応OSと機能・開発方法で決まる

開発期間を決める重要な要素は、「対応OS」「搭載する機能」「開発方法」の3つです。

例えばネイティブアプリを開発する場合、iOS向けとAndroid向けにそれぞれ開発する必要があるため、工数は大幅に増大します。搭載する機能に関しても、例えば会員管理システムやログイン機能を実装する場合には、それぞれ最低でも20〜30万円程度の費用が追加でかかるでしょう。

また、既存システムを組み合わせて開発する場合は開発費用が安くおさえられます。一方で自社独自のユニークなアプリを開発したいケースでは、高いカスタマイズ性を持ったフルスクラッチ型開発が向いており、この場合は費用も高額となりがちです。

アプリ開発後の維持費・費用相場

貯金箱と電卓、データが記された紙と女性のイラスト

アプリ開発を行う際には開発費用のみに目が行きがちですが、リリース後に発生する維持費も忘れてはいけません。企業で開発する規模のアプリの場合、基本的にはサーバーの保守費用として月々数万円が発生するほか、OSのアップデートや不具合の修正などの対応を実施する際にも随時追加費用が発生します。

アプリ開発後に必要な維持費用の相場をご紹介します。

サーバー保守

アプリのリリース後も、サーバーの維持費用が継続的に発生します。一定以上の規模で運用するアプリの場合、最低でも月々2〜3万円程度を見込んでおきましょう。

アプリをレンタルサーバー上で運用する場合、レンタルサーバーの事業者へ支払う利用費がこれに当たります。また、自社でサーバーを運用する場合にはサーバー維持のために必要なエンジニアの人件費のほか、サーバーを動かす際に必要な電気代、設備代などが必要です。

OSアップデート

iOSやAndroidは、機能追加やセキュリティ上の不具合修正のため、継続的にOSをバージョンアップしています。ネイティブアプリを開発する場合、iOSやAndroidのアップデートに対応し続けることが必要です。

特にGoogleとAppleは、それぞれ年に1度、OSの大型なアップデートを実施しています。開発当初はアプリが正常に動作していても、OSのアップデートの影響でアプリの新規ダウンロードができなくなったり、想定外の動作が発生したりする場合が少なくありません。アプリの機能や規模にもよりますが、月々平均すると10万円前後の費用が必要です。

不具合・バグ修正

アプリをリリースしたあとには、社内テストや受注テストでは見つからなかった不具合が発生することがあります。ユーザーから報告されたバグや不具合を放置しておくとアプリに対する信頼感が低下し、ユーザー離れを引き起こしかねません。

報告された不具合にはできる限り早急に対応するとともに、あらかじめ不具合やバグ修正に必要な費用を見積もっておくことが大切です。こちらもアプリの規模によって変動するものの、一般的には「1年あたりでアプリ開発費用の15%」が相場と言われています。

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アプリ開発の費用をおさえる方法

ここまで紹介したように、アプリ開発には様々な費用が発生します。アプリの収益性を高めるためにも、アプリ開発に取り組む際には、できる限り費用を安くおさえたいものです。

アプリ開発の費用を少しでも安くおさえる方法を6つ、紹介します。

設計・機能の見直しをする

アプリ開発に取り組む際に、あれもこれもと機能を詰め込みすぎてしまうと、その分開発費は高くなってしまいます。「機能が多いアプリ」が、必ずしも「便利なアプリ」であるとは限りません。

アプリ開発に取り組む際には、本当に現在の設計に不要な機能はないか、設計は適切かどうかを見直すようにしましょう。そもそもなぜこのアプリを開発しているのか、開発の目的に立ち返って考えるのが有効です。

依頼する工程を明確にする

アプリ開発の際によくある失敗として、「発注側がアプリの要件を明確にできない」というものが挙げられます。コストを最適化するためには、発注側が依頼する工程を明確にすることが重要です。

発注側がアプリの仕様を細かく指定しなければ、受注側はどのような機能を実装すればよいのか分かりません。受注側と発注側の認識にズレが生じてしまうと、開発後に「イメージと違う」「不要な機能がある」といった問題につながります。開発後の不必要な修正によってコストがかさむケースも少なくないため、依頼する工程はできる限り明確にしておきましょう

対応できる部分は自社で行う

アプリ開発を外注する際であっても、すべてをベンダーに任せる必要はありません。対応できる部分は自社で対応することで、外注にかかる費用を安くおさえることができます。

自社で対応する代表例が、アプリのデザインの策定です。アプリ開発の際にはアプリの配色やボタンの配置といったデザインを作成する必要がありますが、デザイナーへこれらを依頼すると費用は高額になってしまいます。デザインツールなどを活用しながらデザイン案を独自で作成すれば、外注にかかる費用も安くなるでしょう。

レベニューシェアを利用する

レベニューシェアとは、アプリ開発に必要な費用を安くしてもらう代わりに、アプリによって得られた利益をベンダーと分配する方法です。開発費用を安くおさえられるとともに、ベンダー側も高いモチベーションで開発に取り組んでもらえるというメリットがあります。

ただし、レベニューシェアは契約内容が複雑なことも多いです。レベニューシェアを実施する際には、契約内容やコスト面などを慎重に検討する必要があります。

Webアプリを作成する

一般に、iOSやAndroidといった個別の端末にインストールして用いるネイティブアプリを開発する場合、開発費用は高額になりがちです。iOSとAndroidそれぞれで開発費がかかるほか、リリース後の維持費用も別々に発生します。

一方Webアプリの場合は、端末の違いを気にする必要がありません。もちろんブラウザの違いは考慮して設計する必要がありますが、それでもネイティブアプリよりは費用が安く収まるケースがほとんどです。開発費用をおさえたい場合は、Webアプリの開発を検討するのもよいでしょう。

ノーコードツールを使う

ノーコードツールとは、プログラミング言語を用いたコーディング不要でアプリが開発できるツールです。開発費用をおさえたい場合、ノーコードツールを活用するのもおすすめです。

ノーコードツールの場合、プログラミング言語に関する知識がなくてもアプリを開発することができます。自社でアプリ開発に必要な技術力が確保できない場合でも、ノーコードツールの力を借りれば効率的な開発が可能です。エンジニアでなくても気軽に利用できるノーコードツールは多数存在するため、これらを積極的に活用しましょう。

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アプリ開発を外注する際の注意点

アプリのデザインを考えているチーム

プリ開発を自社で実施せず、専門としているベンダーへ依頼するケースも多いでしょう。アプリ開発を外注する際には、気をつけておきたいいくつかのポイントが存在します。

アプリ開発を外注する際の注意点を4つほど紹介します。

アプリの要件によって費用は異なる

開発したいアプリの要件によって、アプリ開発に必要な費用は大きく左右されます。当然のことではありますが、まずはこの点をしっかりと頭に入れておきましょう。

例えば社内運用など限られた人数で使う小規模な業務管理アプリの場合、開発費用は50万円前後におさまる場合も多いです。シンプルなアプリでは、開発をフリーランスのエンジニアに依頼すればさらに開発費用をおさえられるでしょう。

一方で、複雑な機能を持った大規模なアプリを構築する場合、フリーランスや小規模なベンダーでの対応には限界があります。予算を作成する際には、アプリの要件によって開発費用が大きく異なることを意識しましょう。

料金表や費用例を公開しているサイトは少ない

アプリ開発の際にはアプリ開発費や維持費がかかりますが、こういった料金を表や費用例として公開しているサイトは少ないです。そのため、同じ機能を持ったアプリを開発する場合でも、開発を依頼するベンダーによって開発に必要な費用が大きく異なる場合があります。

費用感が不透明な場合におすすめしたいのが、複数のベンダーに同じ内容で見積もりを依頼する「相見積もり」です。複数の見積もりを比較しながら適正価格を把握して、費用の安いベンダーへ依頼するのもよいでしょう。

要件定義から伴走支援してくれる会社を選ぶ

アプリ開発の際には、事前に「どのような機能を盛り込むのか?」「どのようなOSやブラウザで動作するのか?」といった詳細情報を盛り込んだ要件定義を実施します。しかし、要件定義にもある程度のノウハウが必要です。

自社でアプリ開発を実施した実績が少ない場合、要件定義から伴走支援してくれる会社を選ぶとよいでしょう。受注側としっかり意思疎通を行い、どのようなアプリを開発したいのかを明確に情報共有するのが大切です。

カタチヅクリが行っている「どこのあわ」では、アプリ開発の要件定義から支援いたします。

企画段階から参画し、要件定義や運用業務の設計、現状業務の分析まで行いますので、アプリ開発が初めての方でも、安心してご利用いただけます。

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個人情報漏えいに注意

最近は、ニュースでも度々アプリやウェブ上からの個人情報漏えいが報道されています。アプリ運用時によくあるトラブルの一つが、個人情報の漏えいです。

一度個人情報が漏えいしてしまうと多額の損害賠償が発生するだけでなく、企業のイメージ低下による業績悪化を招いてしまう可能性もあります。そのため、個人情報漏えいは企業にとって大きなリスクです。アプリを開発する場合は、セキュリティ面を考慮した設計や実装が求められます。

まとめ

アプリ開発の際に知っておきたい、アプリ開発の相場や外注の際の注意点などについて解説しました。アプリ開発を依頼する際には、盛り込みたい機能や規模感によって大きく費用が変動します。また、開発を依頼するベンダーの規模によっても開発費用は大きく異なります。

アプリ開発に必要な費用を最適化するためには、アプリ開発の適正価格を把握することが極めて重要です。ぜひこの記事の内容を参考にアプリ開発の際に必要なコストに対する理解を深め、収益性の高いアプリを開発していきましょう。