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ノーコードの市場規模は?国内・海外における市場予想や普及の背景
執筆者:どこのあわ編集部
ノーコードツールを使用したアプリ開発についての情報を発信していきます。
ノーコードツールは、コーディングの手間をかけることなく、素早くかつ低コストで開発が行える手法です。
最近では、さまざまな業界でノーコードツールの活用が進んでいますが、一方で「ノーコードツールはあまり普及しない」「ノーコードはクオリティが低い」といった情報もあります。
ノーコードの今後を知るためには、ノーコードの市場規模を知ることが必要不可欠です。
この記事では、ノーコード開発の市場規模が知りたい方向けに、ノーコードの市場規模や今後の市場予想、普及した背景などを解説します。
目次
ノーコード/ローコード開発の市場規模
ノーコードツールの市場規模は、どのように推移しているのでしょうか。
現代のノーコードやローコード開発の市場規模は、ここ数年一環して拡大傾向で推移しています。
ノーコード開発を巡る市場調査は数多くありますが、ここでは信頼できるメディアの情報を参考に、ノーコードの市場規模と市場予想を見ていきましょう。
2021年度の売上金額は611億6,000万円、前年度比18.6%増
調査を行った株式会社アイ・ティ・アールによると、ノーコード開発市場の2021年度の売上金額は611億6,000万円です。
前年度の516億円と比べると18.6%増加しており、ノーコード開発市場の拡大傾向が確認できます。
ノーコード開発の売上金額が上昇している主な要因として、影響力のある大規模な上位ベンダーだけでなく、市場を構成する8割以上のベンダーが2桁以上の伸びを示した点が挙げられます。
特に近年ではDXを進めてビジネスを活性化するべく、社内で使う業務アプリの開発にノーコードを用いるケースが増加中です。
参考:https://www.itr.co.jp/company/press/230214pr.html
市場規模は2026年度に2021年の2倍になる予想
2020年から2021年にかけて増加したノーコード開発市場の売上ですが、今後も拡大傾向は続いていくことが予想されています。
2021年の売上総額は611億6,000万円でしたが、2024年には市場全体で1,000億円を突破し、2026年には1,330億円に到達する見込みです。
市場規模の拡大が予想されている根拠としては、第一に業務アプリのノーコード化やローコード化が進んでいることが挙げられます。
また、各種システムのクラウド化が進んでいるため、ノーコード開発と親和性の高いクラウドサービスのさらなる普及が見込まれるのも要因の一つです。
世界的に見てもノーコード/ローコード開発の市場規模は拡大中
ノーコード開発の市場規模の拡大傾向は、国内に限った話ではありません。
世界的に見ても、ノーコードやローコード開発の市場規模は拡大傾向で推移しています。
米国の大手テクノロジー系メディアである「SiliconANGLE」では、ノーコードやローコード開発の市場規模が2026年までに毎年44%上がり続けるという予想が出ています。
また、スタンフォードに本社を置く「Gartner」では、2023年に2019年の市場規模の2.2倍に相当する203億ドル(約2兆2,000億円)に到達するとの予測も出されています。
参考:https://walker-s.co.jp/media/nocode-market-size/
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ノーコードツールベンダーの資金調達から見る市場規模
ノーコードツールのベンダーが資金調達に成功しているということは、ノーコードツールが市場から注目されている証拠といえるでしょう。
そのため、ノーコード開発市場の動向を探るうえでは、ベンダーの資金調達をチェックすることも参考となります。
ここでは、ノーコードツールのなかでも特に人気の高いBubbleやSTUDIOなどを中心に、ベンダーの資金調達状況を解説します。
Bubble
高いカスタマイズ性が強みのBubbleは、現在世界中で人気を集めているノーコードツールの一つです。
スクラッチ開発と遜色ないクオリティのアプリが開発できるため、幅広い業界から注目を集めています。
そんなBubbleは、2021年7月に約1億ドル(約120億円)の資金調達に成功しており、同月全世界でのユーザー数が100万人を突破しています。
2021年の収益はそれまでの3倍まで増加しており、今後もBubbleのサービス拡大は続くことが予想されます。
STUDIO
STUDIOは、デザイン性に優れた国産のノーコードツールです。
「創造性を、解き放つ」というミッションのもと、表現力の高いサイト作りを支援してきました。
STUDIOは、2022年1月に約3.5億円の資金調達が行われています。
この資金調達は、成長が期待される段階で行われるシリーズAで実施されており、STUDIOに対する投資家からの期待感の高さが伺えます。
この資金調達は、主にサービス開発やマーケティング、新規ユーザー獲得に充てられる予定です。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000025503.html
Webflow
Webflowは、Webサイトをノーコードで作成できるツールです。
ドラッグアンドドロップをメインとした簡易的な開発ができるのに加え、必要な部分はコーディングによるカスタマイズが可能なため、幅広いWebサイト作りに役立ちます。
Webflowは、2021年1月に約1億4,000万ドル(約170億円)の資金調達を実施しました。
これは世界的にも影響力の大きいBubbleを上回る額の資金調達であり、今後の動向にも目が離せないでしょう。
Notion
Notionは、タスクやプロジェクト管理、ドキュメント作成などを一元管理できるサービスです。
製品としてのサービス開発というよりは業務アプリ開発を一括で行うようなツールで、ビジネスの現場を中心に幅広く活用されています。
Notionは、2021年10月の日本語版公開に合わせて、2億7,500万ドル(約300億円)の資金調達を実施しました。
2億7,500万ドルは上記で紹介したWebflowの2倍に匹敵する金額であり、Notionに対する市場からの期待感が伺えます。
世界的にもノーコードツールが注目されていることを証明する資金調達の事例といえるでしょう。
ノーコード/ローコードツール普及の背景
ノーコードツールやローコードツールの市場規模は、今後もしばらく拡大傾向が続くことが予想されています。
これほどまでにノーコードツールやローコードツールが注目されているのか気になるという方は多いのではないでしょうか。
ここでは、ノーコードツールやローコードツールが普及しているその背景について解説します。
DX化におけるツールの内製化の推進が成長を後押し
近年では業務効率化に向けた取り組みとして、DX化を進める企業は非常に多いです。
変化の激しいVUCAとも呼ばれる現代のビジネス環境のなかで効率的にDX化を進めていくためには、業務アプリやシステム基盤のスピーディーな開発が求められます。
そんな激しい市場変化に対応するための現実的な手段として、ノーコードツールやローコードツールが注目されています。
プログラミングの知識を持ったエンジニアを雇う余裕のない企業にとって、短期間でアプリを開発できるノーコードやローコードは魅力的な選択肢といえるでしょう。
参考:https://www.intra-mart.jp/im-press/useful/lcap
ユーザー導入率も約4倍に上昇している
IDC Japanが実施した調査では、2020年に8.5%だったノーコード/ローコードツールの導入率が、2021年には37.7%へと大幅に上昇したことが判明しています。
また、同時に2023年には新規開発のアプリケーションの60%がローコード/ノーコード基盤で行われるといった予測も発表されました。
ユーザー導入率が4倍に増加しており、ノーコードやローコードでの開発を行うベンダーが増加しているのも、ノーコード/ローコード開発の普及に拍車をかけています。
特に商品管理や販売管理などを行う営業系アプリや、予算管理や売上管理を行うバックオフィス系アプリでは、ノーコードやローコードの開発基盤を取り入れる機運が高い傾向にあるといえます。
参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/23068
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ノーコード開発の成長に伴う課題
スピーディーな開発が魅力のノーコード開発ですが、ノーコード開発には手軽さゆえのリスクも伴います。
ノーコード開発市場の成長に伴って発生する課題を2つ解説します。
野良アプリの乱立
ノーコード開発の成長に伴う課題として、管理されずに放置されている「野良アプリ」が乱立してしまう点が挙げられます。
ノーコード開発は、従来のようにスケジュール管理やシステム設計を綿密に行わなくてもある程度形になるため、新規開発に着手しやすいです。
しかし、一方で全体的にクオリティの低いアプリや、見切り発車で開発をはじめたアプリなどが数多く生まれてしまうことにつながってしまいます。
ノーコードで開発されたアプリの品質管理は、一つの大きな課題です。
情報漏えいのリスク
ノーコード開発市場の成長に伴うもう一つのリスクとして、情報漏えいが挙げられます。
本来、Webアプリやネイティブアプリの開発には非常に高い専門知識が必要です。
ノーコード開発は専門的な知識があまりないという方でもアプリを開発できる反面、セキュリティ対策が十分になされていないアプリが世に出る可能性が高まり、情報漏えいのリスクが増大してしまいかねません。
そういった場合のほとんどはノーコードツール側ではなく、開発者側のミスが原因といえるため、開発者はセキュリティに対して最大限の注意を払う必要があります。
ノーコード開発のCoE設置の必要性
CoEとは、Center of Excellenceの略称で、社内に散らばる優秀な人材を一箇所に集約した部署横断的な組織のことです。
ノーコード開発に伴うリスクを軽減するために、ノーコードCoEやローコードCoEを設定する必要性が指摘されています。
ノーコードCoEを設置すれば、開発工程の統一や社内で用いるフレームワークの作成、セキュリティのチェック項目策定といった品質管理体制を確立できます。
また、CoEが中心となって社内にノーコード開発の教育やトレーニングを実施するのも有効です。
参考:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ49023422
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まとめ
ノーコード開発の市場規模の推移や、今後の予測などについて解説しました。
スピーディーな開発が実現できるノーコード開発は、変化の激しい現在の市場環境と非常に相性が良く、国内外を問わず大きな注目を集めています。
市場規模の推移や資金調達の状況からも分かるように、今後もノーコード開発市場の拡大傾向は続いていくでしょう。
ぜひこの記事の内容をもとにノーコード開発市場の動向へ理解を深め、アプリ開発の参考にしてみてください。