ノーコードでデータベースを作成するメリットは?ツールの選び方を紹介

2023/06/13

執筆者:どこのあわ編集部

ノーコードツールを使用したアプリ開発についての情報を発信していきます。

ユーザーのデータなどを記録しておくデータベースは、アプリに欠かせない存在です。

最近では、コーディングを行わずにデータベースを構築する手法が注目を浴びています。ノーコードでデータベースを構築すれば、誰でもスピーディーにアプリの開発ができるようになるでしょう

この記事では、ノーコードでデータベースを作るメリットや、ツールの選び方を解説します。 

Webデータベースとは

Webデータベースとは、ユーザーのデータなどを管理する従来のデータベースの機能を、Webブラウザ上から利用できるようにしたサービスのことです。

Webデータベースが登場するまで、データベースの管理は主に高度な専門知識を持ったエンジニアが中心に行ってきました。しかしWebデータベースはExcelに近い感覚で操作できるため、現場の管理部門などがデータベースを運用できます。

業界を問わず、データベースを運用する際に幅広く活用されているサービスです。

ノーコードツールとは

ノーコードツールとは、これまでプログラミング言語を用いたコーディングで行っていたアプリ開発を、直感的な画面上の操作で実現できるようにした開発ツールのことです。

ノーコードツールを使えばプログラミング言語の専門知識がなくてもアプリ開発ができるため、開発に必要な実費用や時間的コストを大きく削減できます。以前はノーコードツールというと「開発の自由度が低い」といったイメージを持たれがちでしたが、最近では事業規模の複雑なアプリをノーコードで開発できる事例も多いです。

ノーコードでデータベースを作るメリット

先ほど紹介したWebデータベースとノーコードの概念を組み合わせて、最近ではノーコードでデータベースを構築する手法が普及しつつあります。

ノーコードでデータベースを作れば、誰でもスピーディーにシステムを構築できるといったメリットがあります。ノーコードでデータベースを作るメリットについて見ていきましょう。 

誰でもシステム構築が可能

従来の開発では、コーディングをする際に高度な専門知識が求められました。データベースを操作する際にはSQL(「Structured Query Language」の略で、リレーショナルデータベース(RDB)のデータを操作するための言語・通称シークウェル)と呼ばれる言語が主流ですが、SQLは英語に近い独特な文法であり、初学者の学習ハードルは低くありません。

しかし、ノーコード開発では、プログラミング言語の複雑な文法などを覚えることなく誰でもシステム構築ができます。エンジニアとのコミュニケーションミスによる作業のやり直しなども発生しないため、スムーズにデータベースを運用できます。 

開発のスピードが速い

プログラミング言語を用いたコーディングを行うのは、大きな工数がかかります。最近ではAIを活用してコーディングを素早く進めるツールも登場していますが、それでもテキストベースは時間がかかることに変わりはありません。

ノーコードでデータベースを構築するメリットとして、開発スピードが速い点も挙げられます。データベースの構築をすべて直感的な操作で完結できるため、非常にスピーディーで、データベースの設計も補助したり、自動化したりしてくれるツールもあります。

費用を抑えられる

データベースに関連する資格が数多く存在することからもわかるように、データベースを構築するためには高度な専門知識が必要です。そのため、データベースに関する専門知識を持った人材を雇うためには多額のコストをかける必要があります。

ノーコードでデータベース構築を行えば、こうしたコストを大きく削減できるでしょう。削減した分のコストを機能追加や不具合の修正などに充てることができるため、より質の高いアプリ開発が可能です。 

データベースを作成するためのノーコードツールの選び方

データベースをノーコードで作成できるツールはいくつか存在します。それでは、どのような基準でノーコードツールを選定すればよいのでしょうか。

ノーコードツールを選ぶ際には、いくつか注目しておきたいポイントがあります。データベースを作成する際のノーコードツールの選び方について解説します。 

目的に合った機能があるかで選ぶ

データベースをノーコードで作成したい場合、まずは必要となる機能を洗い出します。その上で、目的に合った機能があるかどうかを基準にノーコードツールを選ぶのがおすすめです。

例えば、特定の業務プロセスを自動化するためにデータベースを構築する場合、その業務にあったワークフロー機能が必要になります。また、既に何らかのアプリケーションを業務で活用しているのであれば、そのアプリケーションとの連携機能を備えたツールを選ぶのがよいでしょう。 

利用者のスキルレベルによって選ぶ

ノーコードツールと一言でいっても、使いやすさはさまざまです。直感的な操作に重点を置いて機能面を絞った初心者向けのツールから、使いやすさは劣るものの高度な機能を豊富に搭載した専門性の高いツールまで、幅広いツールが存在します。

データベースをノーコードで構築する際は、利用者のスキルレベルとあったツールを選定するのがポイントです。ノーコードツールによっては、操作が難しい場合もあります。無料のトライアル期間などを設けているノーコードツールも多いので、まずは試しに利用してみるのもよいでしょう。 

セキュリティ対策がされているかで選ぶ

データベースは、企業にとって最もセキュリティ対策が必要とされるシステムです。特に住所やパスワードといった機密性の高い個人情報を含む顧客データを保管する場合、厳重な管理が求められます。

データベースをノーコード化する際には、セキュリティ対策がされているかどうかにも注目しましょう。例えばデータが暗号化されていれば、万が一データベースの内容が流出した場合でも被害を最小限に食い止めることができます。また、適切なアクセス制限機能があれば、社内外からの不正なアクセスを防止できるでしょう。 

カスタマイズ性があるかで選ぶ

ノーコードツールは、機能性もさまざまです。柔軟に拡張できるものもあれば、ノーコードツール側で決められたテンプレートに従って開発していくタイプのものもあります。

ツールを選定する際には、できればカスタマイズ性の高いものを選ぶとよいでしょう。

例えばデータベースに合わせたフォームの作成や、外部アプリケーションとの連携ができるツールなどは、カスタマイズ性が高いといえます。

開発段階では不要だと思われていた機能が後から必要となるケースもあるため、カスタマイズ性をよく検討するのが大切です。 

費用・価格で選ぶ

ノーコードツールは、安いものでは月々2000円程度、高いものでは月々数万円以上と価格帯に幅があります。

ノーコードツールを選ぶ際には、費用や価格も選定基準となるでしょう。機能が豊富なノーコードツールはその分、価格も高くなる傾向にあります。プロジェクトの予算に合わせたノーコードツールを導入するのが大切です。

なお、ノーコードツールの中には無料で利用できるものもありますが、やはり自由度はかなり劣ります。事業規模でノーコードツールを活用する場合は、有料のものを検討するのがおすすめです。

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ノーコードでデータベースを作成する流れ

ノーコードのデータベースを用いたアプリを作成する際には、まずアプリ開発の企画立案からはじめ、要件定義やデザイン作成などを行います。その後、実際にアプリ開発を行い、テストを経てリリース、という流れです。

ノーコードでデータベースを作成する際の、アプリ開発の流れについて解説します。 

アプリ開発の企画立案

まずは、アプリ開発の企画立案から始めましょう。この段階では、大まかなアプリの概要や機能を決めていきます。

企画立案の際には、ターゲットとなるユーザー像である「ペルソナ」を設定するのが大切です。想定ユーザーの年齢層や性別といった基本的な情報はもちろん、家族構成や仕事、休日の過ごし方といった詳細事項まで決めていきます。

また、アプリの大枠が決まったら開発スケジュールの設定も行いましょう。アプリの規模にもよりますが、ノーコード開発の場合、長くても数ヶ月程度、短ければ1週間〜2週間程度で終了する場合もあります。 

要件定義

アプリの企画立案が終了したら、要件定義を行います。要件定義とは、企画で考えたアプリの構成を実現するために必要とされる具体的なアプリのシステムを決定することです。

例えばアプリ全体の画面遷移はどのようになっていて、ユーザーはどの端末からアプリを利用するのか、といった点を決めていきます。なお、データベースについてはこの段階でデータベース設計まで決めるケースがほとんどです。

具体的にどのようなデータを管理して、それをどういった構成のデータベースで管理するのかを明確にしていきましょう。 

デザイン作成

要件定義が終了したら、次はデザイン作成の段階に入ります。アプリに含まれる一つ一つの画面はどういったデザインで、それぞれのボタンやテキストボックスは何色をしているのか、イラストはどの位置にどのサイズで含まれるのか、などを決めていきましょう。

なお、デザイン作成はアプリのクオリティを大きく左右する重要な段階です。ここでしっかりとデザインを作成しておかないと、アプリ全体の質が低下してしまいます。洗練されたデザイン作成があって初めてクオリティの高いアプリが実現することを意識しましょう。

 アプリ開発

次に、実際にアプリを開発していきます。要件定義で決定したシステムの要件や、前の段階で決定した画面デザインに沿って、実際にアプリを制作していきましょう。

基本的にこの段階はエンジニアが担当しますが、ノーコードの場合は企画段階から携わる人材が直接担当することもできます。また、デザイナーがある程度ノーコードツールを使える場合は、デザイン作成を担当したデザイナーに直接開発してもらうのもよいでしょう。 

テスト

アプリ開発が一通り終了したら、テスト段階に入ります。テストは、主に以下の3つの段階に分けて行われるのが一般的です。

  • 単体テスト:一つ一つの機能を単体でテストする
  • 結合テスト:各機能間の動作や、他システムとの連携などをテストする
  • 総合テスト:システム全体として正しく動作するかテストする

まずは単体テストから行い、問題がなければ結合テスト、総合テストへと進んでいきます。問題が見つかった場合は、その都度原因となる機能を特定し、機能面の修正を行いましょう。

リリース

アプリのテストが完了したら、リリースを行います。Webアプリであれば作成したアプリを本番環境へデプロイし、スマートフォン上などで動作するネイティブアプリであればプラットフォームに審査を提出する流れです。

なお、App StoreやGoogle Playでの審査はかなり厳しいといわれています。余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。 

運用

アプリのリリースが終了したら、運用フェーズです。ここでは、実際にアプリを使っているユーザーのフィードバックなどを参考にしながら、必要に応じて不具合の修正や機能追加を行いましょう。

なお、アプリを運用する際にはサーバーやドメインを維持するためのコストや、アプリのアップデートや機能追加に伴うコストが発生することに注意が必要です。またネイティブアプリを配信する場合は、随時OSアップデートへの対応が求められるでしょう。

ノーコードでデータベースを作成した事例

最近では、ノーコードで作成されたとは思えないようなクオリティの高いアプリも数多く登場しています。中には、データベースをノーコードで作成している事例も少なくありません。 

ここからは、ノーコードでデータベースを作成した事例を3つ紹介します。ぜひ自社でノーコード開発に取り組む際の参考にしてください。 

いなぎお弁当マップ(Glide)

いなぎお弁当マップは、稲城市周辺でお弁当をテイクアウトできる飲食店を検索できるアプリです。いなぎお弁当マップはGlideというノーコードツールを用いて開発されており、このアプリを皮切りにお弁当を検索できるアプリが全国で数多く開発されました。

いなぎお弁当マップが開発に利用したGlideは、スプレッドシートのような直感的な操作ができるノーコードツールです。実際、いなぎお弁当マップはコードを全く書かずに、GoogleスプレッドシートからGlideを用いてデータベースを構築し、開発されました。

参考:https://inagiobento.glideapp.io/dl/245b4e

kitene (Bubble)

kiteneは、Twitter上での採用を支援する、企業と求職者間の人材マッチングアプリです。ページ上で人材を募集するだけで、リアルタイムにTwitter上のユーザーへ訴求できます。

kiteneは、Bubbleというノーコードツールを用いて開発されています。

開発者の方はTwitter上で「実際に開発してみるとシステム開発と変わらないレベル」と言及しており、ノーコードツールの機能の豊富さが伺えます。2023年現在も継続的に運用が行われており、エンジニアやオフィスワークを中心に複数の求人が出ています。

参考:https://kitene.in/

FootHub (Adalo)

FootHubは、サッカーファンに向けたサッカー観戦に役立つアプリです。好きなチームの試合日程の閲覧やサッカーニュースへのコメント、ルームを作って行うファン同士の会話などを楽しむことができます。

FootHubは、Adaloというノーコードツールを用いて開発されたアプリです。Adaloではテンプレートを選択すれば自動的にデータベースが作成されるため、データベースの専門知識がなくても適切なデータベース設計を採用できます。FootHubの開発者は「システム全体を構築するのに2日しかかからなかった」と発言しており、ノーコードツールの有効性がわかる事例です。

参考:https://www.adalo.com/showcase-apps/foothub

まとめ

ノーコードでデータベースを構築するメリットや流れ、事例について解説しました。

 ノーコードでデータベース作成する際の選び方のコツも紹介しました。

  • 目的に合った機能があるかで選ぶ
  • 利用者のスキルレベルによって選ぶ
  • セキュリティ対策がされているかで選ぶ
  • カスタマイズ性があるかで選ぶ
  • 費用・価格で選ぶ

データベース設計はアプリ開発の中でも専門性が高い部分で、複雑なアプリになればなるほど高度な専門知識が求められる領域でもあります。ノーコードでデータベースを構築すれば、データベースの専門知識の学習コストを抑えたスピーディーな開発が可能です。

ぜひこの記事の内容を参考にデータベースのノーコード開発に取り組んで、スピード感のあるアプリ開発に取り組んでみてください。

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